湘南寺田屋

個人の記録用。元々は山スキーやクライミングの記録用だったが今は料理やらオルガンやら日々の雑多な記録多し。2016−21間はシドニー滞在していた時の記録。23.7月から山の記事はサブブログに移管。以前の記録もサブブログでアーカイブ。

第四次M登山隊(谷川岳)

M山さんとK澤さんをご案内して、谷川岳を見にでかけることとなった。今回で4次登山隊。といいつつ、体力的に無理なく見て回るコースである。

27日(金)。かなり前から日程は決まっていたのだが、ちょうど上空に寒冷渦を伴う低気圧の寒冷前線が通過するとの予報。今回は展望が得られることがひとつの鍵であり、慎重に天気を予想。昨晩から降り出した雨は昼頃には上がり、午後から急速に天気が回復すると読んで、本降りの雨の中を出発。東名から首都高3号に入り通勤渋滞を乗り越え、中央環状線から5号で護国寺方面へ。大塚の閑静な場所にあるM山オフィスでM山さんとKさんをピックアップ。

10時頃再び高速に乗り関越道に向かうが、強烈な風雨でワイパーかけても前が見えないほど。旧車フェスティバルでもあるのか古い欧州車が何台か走っていたが果たして2台ほどレスキューの世話になっていた。しかし、11時くらいには前方に雲の切れ間もでてきて高坂SAのあたりまでくると青空も見えて来た。上越方面の雲は急激に切り上がっており大いに喜ぶ。

水上ICで降りてコンビニで昼食を調達して、谷川ロープウェイ下駅の駐車場まで走る。停まっている車はほとんどいない。いつしか天気はすっかり晴れになり、初夏の緑が目に心地よい。

今日はここから旧道(国道291号)を歩いて一の倉沢出合までの往復である。車止めの手前にある山岳資料館で様子を聞いて見たが、湯檜曾川沿いの登山道(新道)は、橋の冠水や徒渉点の増水で今日はとても歩けないよう。これだけの雨の後なのでそれはそうであろう。

山岳資料館前から小さな電気バスが運行/  車はここまで。一ノ倉まで3キロちょっと

 

学生の頃GWに毎年通っていた懐かしい道を行く。春のセミの声を聞きながら明るいブナの緑の下を歩く。湯檜曾川の流れる音を聞き、樹間に山肌や残雪を見ながら心地よく進むと、鶯のさえずりも聞こえる。

ブナの林の下を行く

西黒尾根への登路分岐           /  マチガ沢が見えてくる

後ろは白毛門が結構高く見える。

 

ツアー団体らしいハイカーが数名戻ってきたり、電気バスとすれ違ったり。以前は車も入っていた舗装道である。ほどなくマチガ沢が見えてくる。今年は降雪が多かったと聞くが確かに残雪が豊富にあり、MさんもK澤さんもうちの息子も嬉しそう。

短い時間に雨が集中したためか、マチガ沢出合では道は水が被っている。まあ浅いので駆け抜けるが、運動靴の息子は裸足で渡っていた。

マチガ沢

強行突破

 

さらにのんびりと歩き尾根を回り込むと急峻な一の倉沢の岩壁が見えてくる。雲が流れているが国境稜線まで見通せる。テールリッジの奥に三角形の衝立岩、烏帽子岩、コップ状岩壁、滝沢スラプに本谷。雪はかなり多いと思われる。

自分にとってもここにくるのは約10年前の一の沢スキー滑降以来約10年ぶりとになる。

雪渓はまだ3mくらいある         /   衝立岩中央稜&烏帽子岩南陵あたり

雪渓の上で一枚。ちょっとの間にもう稜線にガスがかかっている

 

お昼に湯を沸かしてうどんやラーメンを食べて休憩。よいトイレも設置されており、電気バスもあるので結構人気のようである。M さん達に主要ルートをお示ししたり、この山で800人以上も亡くなって来ている歴史等を偉そうにお話しする。出合にもたくさんの遭難プレートなどが設置されているが、今はロープウェイの下の広場に合同の慰霊碑が設けられている。ちょっと休んでから、もうすこし足を伸ばし、湯檜曾側添いの新道への連結道を少し降りる。ここに大学の先輩Yさんと後輩T 君の記念碑があるのでお参りしてくる。元は一の倉沢の大展望があったのだが今は木が大きくなり眺めは遮られている。もう四半世紀以上前のことになると思うとちょっと驚いてしまう。初夏の花々を楽しみながら往路を駐車場まで戻った。

タンポポの仲間。ちょっと変わった形    / アジサイの仲間(オオガメノキ?)  

 

車で宿の谷川温泉に向かう。途中三角屋根の上越線土合駅に立ち寄る。ここの下り線はループ鉄道で地下はるか奥を通っており、かつて上野発の夜行で来た岳人は長大な階段を駆け上ってから山に向かった。「日本一のもぐら駅」なのだそうだが、なんと今はグランピング等の施設が整備され結構人気らしい(翌土曜は車がたくさんになっていた)。

 

車でもう15分走って、谷川岳南面麓にある谷川温泉の「旅館たにがわ」へ。老舗であり俎倉の岩やオジカ沢、ヒツゴー沢等の名渓がある南面麓に位置する。おどろいたことに駐車場もほぼ満車なほど賑わっていた。ここは太宰治や川端康誠ゆかりの宿。山に藤の花がぶらさがり美しい。一風呂あびてから美味しい料理をいただき、ゆっくりする。

 

翌28日(土)、再びロープウェイに向かい、今日はゴンドラに乗って標高差500mを上がり1,300mの天神平へ。冬はスキー場であるが、5月連休後に2週間ほど点検休止を経てゴンドラを再開。この時期は雪が溶けて湿原になり水芭蕉の花が咲いて良い感じである。ウグイスの囀りも聞こえる。対面の白毛門の立派な山容が美しい。そして谷川岳のトマの耳・オキの耳のピークも間近に望める。


稜線まで上がることとし天神峠へのリフトに乗り換える。紫のカタクリの群落の上を登っていくと標高1,500m天神峠に到着。

 

谷川本峰から湯檜曽川源流の山々、間近に上州武尊の大きな山体、その向こうに尾瀬至仏山。三角形の皇海山裾野を引く大きな赤城山が見渡せる。反対側に降りれば昨日の宿の谷川温泉までの道。万太郎山につながる上越国境稜線には俎蔵の岩場や鋭く突き上がるオジカ沢、ヒツゴー沢も手に取るように見える。

 

展望を楽しんだ後は、ゆっくりとスキー場の草原を花を愛でながら下り、ものの30分でロープウェイ駅に戻った。

途中、洒落た山カフェや生ハムの店などがあるところでランチ。とても賑わっていたが以前との様変わりにちょっとびっくりであった。渋滞もなく順調に都心に戻り、M山オフィスにお送りしてから湘南に無事帰着。オフィスでサインと本をいただき息子にとってはこの上ない日となったと思う父。

(コースタイム)

     天神峠 リフトトップ          11:00

     天神平 ロープウェイ上駅 11:30

(機材) OM-D EM-5 + M.Zuiko 14-150mm