シドニーに戻る前に、一泊で瀬戸内の田舎に戻る。正午頃に羽田を飛び立ち、本を読んでいるとあっというまに瀬戸内海の上空。雲が多く日は陰っているのだが、水彩画のような穏やかな景色が広がっていて、なかなか良い。多島の内海は今日はとても穏やかであり、少し靄も立っている。
靄が立っている / 大島瀬戸
いつものとおりバスで駅まで行って山陽線に乗り継ぐが、スムーズに走ったのでひと便早い列車に接続。離陸から2時間50分で小さな田舎駅に到着し父の車に迎えられた。稲穂が色づき始め、彼岸花が咲いているこの時期に戻るのは久しぶりな気がする。
幸い両親とも元気であるが、さすがに高齢になってきている。台風も来ていたので家の周りなど見て回り、あわせて通信周りや郵便物等をチェックして、問題ないかをよく確認しておく。
畑でかぼちゃやピーマンを少しとったり、近所から頂いた栗などをお土産にもらったので、明日空港に見送りにくる妻に渡すことにする。母の料理と父の刺身を食べて地元の日本酒をぬる燗で飲むいつもの夕食。いつまでも続くとよいがそうもいかないのであろう。
芙蓉の花が満開 / かぼちゃの花もなかなかのもの
翌朝、いろいろ書類を見ているとやはり問題も生じているようなので、少し整理しておく。もう少し大きな問題もあったので、これは持ち帰って分析することにする。周囲に良いひとが多いのだが、そうでないこともあるので、しっかり守らなくてはいけない。
翌火曜、夕方までいろいろ話をしてから、羽田に戻り、妻とおでんを食べてからシドニーへの全日空便に搭乗。また年内には一度帰国が必要な気がする。
機内誌にバンクーバーの記事があり、花崗岩の岩場スコーミッシュがでていた。ヨセミテの名クライマー、ピーター・クロフト(Peter Croft)の修行場。ちょうどクライマーのバイブル(?)「ビヨンド・リスク」を再読し、彼の章を読んだところであったので見入ってしまった。アレックス・オノルドによる17年のエルキャピタン初フリーソロにつながるソロ(ヨセミテのアストロマン等)を成し遂げた達人。
スコーミッシュの岩場 / 知人がギリシャでお土産に買ってくれたハガキと磁石
先週丸善で買ったトミー・コードウェルの「The Push」を今読みふけっているが、ハーディングやロイヤル・ロビンス等の開拓期リーダーとの接触から、スポーツフリーのトップクライマーであるリン・ヒル、クリス・シャーマとの研鑽、そしてエルキャップのハードフリークライマー故ディーン・ポッター、そしてアレックスにつながる達人たちの糸には、見えざる力の存在を思わずにはいられない。厚い本だがすぐ終わらないようチビチビと読んでいきたい。