妻を付き添いに残して一旦引き上げたその夜遅く電話がなり、急ぎ車で戻ったがすでに義母は息を引き取ったところであった。医師の診断を受け、老義父に事態をわかってもらえるように努める。妻に代わり斎場に連絡をして、深夜にお迎えの車を寄越してもらい、安置室に移送。親族に電話等で一報入れたのち、息子とともに妻を連れて自宅に帰る。なんだか時間と日付がわからなくなる妙な感覚になる。
日が明けた早朝、斎場の担当の方から連絡が入り、通夜・葬儀の準備を進める。ここは自分の持ち場と自覚して丁寧に対応する。30年来良くしてくれた方へのご恩返しでもあろう。
立夏を明日に控えた穏やかな春の日。みどりの日。気づけばいつの間にかお堀の鴨たちは皆いなくなっていた。通勤の時に好きだった神田駅の広告も変わってしまっていた。
実家の庭にちょうど春薔薇が咲いたが残念ながらみることはできず