湘南寺田屋

個人の記録用。元々は山スキーやクライミングの記録用だったが今は料理やらオルガンやら日々の雑多な記録多し。2016−21間はシドニー滞在していた時の記録。23.7月から山の記事はサブブログに移管。以前の記録もサブブログでアーカイブ。

雨飾山南尾根P2

ゴールデンウィークのうち山に出かけられるのは1日だけである。ずっと気になっている雨飾山荒菅沢を狙いに出かけた。


1日午後、電車に乗って信濃大町まで行く。平日なのであずさ号は松本止まりで、以降は大糸線普通列車でいくが下校途中の中学生たちで賑やかなの何の。ようやくたどり着いた駅で松本からのM森さんともどもH瀬さんにピックアップしてもらい、Y倉さん、H野父子の待つ岳峰ヒュッテに向かう。

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彼らはすでに3日間唐松岳、ガラガラ沢、そして雨飾P2まで行っているとのこと。Y倉シェフの山菜天ぷらを戴きながら酒を組みかわしていると、稲光とともに猛烈な雨となった。またしてもピンポイントで悪天候に当ってしまったようだ。本日は半そでで過ごせるような異常な暑さであったが、寒冷前線が通過しその後、寒気が入ってきているようだ。針ノ木沢での雪崩事故も起こっているので慎重を期さねばなるまい。本日P2から見ると荒菅沢の上部はシュルンドが走りよい状態ではないとのことであった。加えてこの雨ではどこも登れないよと冷やかされながら床に着いた。明け方目がさめたときもまだ雷雨が続いていた。

2日、6時に起床するも雨。それも本降りである。H野父子は早々に休みと決定のようで布団に戻っていった。Y倉シェフは昼までに帰京する必要があるとのことで「きょうはもう駄目だな、へっへっ」と嬉しそうに帰っていった。

さすがにこの状況では荒菅沢というわけには行かないが、さりとて温泉のみ入って帰るのも辛いものがある。8時半ころようやく小止みとなってきた天候を見て、H瀬さん、M森さんとP2に行ってみることと決定した。H瀬さんは前日も行っているので申し訳なかったが、斜面の状態もよく危険個所もなさそうとのことで再度同行してもらった。

小谷で食料を仕入れ、一路小谷温泉に向かう。河川の増水はすさまじく、ごうごうと茶色の濁流が流れ下っている。3mほどの雪壁の道を進み山田旅館から村営雨飾荘を過ぎても除雪は進んでおり、大海川沿いの登山口まで車で入った。

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幸い、雨はほとんどあがり、かすかな霧雨程度である。登山口(1100m)にはきれいなトイレと更衣スペースもある。夏にはにぎわうことだろうが今は静かなものである。雪は雨に濡れて緩んでいるが不安定さは感じられない。9:50、出発である。いったん河床までシールのまま下り、15分ほどしばらく平坦な道を進んだ後、1120mあたりより左手の尾根に取り付く。いきなりの急登であるが雪はよく安定している。ブナの疎林の中、ぐんぐんと高度を稼ぐ。途中右に荒菅沢を渡って笹平経由で山頂に向かう夏道を分け、まっすぐに南尾根に向かう。直登と斜登高を交えながらシールを効かせる。今回は細めの初代バンディットなので軽くて快適である。尾根直下で少し雨が降り始めたので雨具の上着を着てさらに登ると、南尾根主稜線である。11:20、雪庇を避けて尾根上に登りつく。振り返ると妙高の金山方面が見渡せる。まだ雲がかかっているが、どうやら徐々に天候も回復基調である。それにしてもゴールデンウィーク中唯一の雨天に当るとは、自分の雨男パワーも絶好調である。

10分ほど休んで、最後の登りにかかる。P2はこんもりと盛り上がった真っ白なお椀状のピークである。一ヶ所大きなシュルンドが開いている。12:05、一汗かいてP2に到着。P2から先は東側に雪庇が張り出しているので、念のため少し西側に下がって休憩である。荒菅沢上部が見えるが、確かにシュルンドが多く沢両側の積雪も不安定な感じである。今年は例年になく積雪量が多いまま融雪期に入っており、確かに沢筋は危険度が高い感じである。来年にはぜひ再度目指してみたいものである。フトン菱の岩峰が雲間に見え隠れするが、本峰までは視界が効かない。今日は雨が降らないだけで良しとしなくてはなるまい。ピットを掘って、弱層テストを行うが、70センチくらいまでは一様のザラメ雪で安定している。全身で4度ほど力をかけると、30センチのところで切れたが、まずは問題ない。むしろ地形的に全層で雪崩る場所に注意しなくてはならない。

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12:25、滑降開始である。雪は適度に緩みやや重いものの快適にターンができる。雨の影響は滑りに関してはあまり感じない。登りに見たシュルンドは上からは見えない。慎重に右から巻きながら稜線を滑る。概ね登路沿いに滑り、南尾根に登りついたあたりより、左(東)に支尾根に入る。疎林を縫っての滑降になり、快適である。さすがに春であり、重い雪がずれてできた裂け目や、木の根元の窪みに気をつけつつ滑る。M森さんがニコンのカメラで動画撮影をしてくれるが、そんなときに限り(?)転倒してしまうが、楽しい斜面である。少し右手側(南側)に下りすぎたようで沢状の地形にあたってしまい、トレースもなくなってしまった。H瀬さん達昨日のパーティも同様に沢に出てしまったそうで自然に流れて行き易い様である。コンパスとGPSも使って慎重に読図をし、すぐに支尾根に戻り、ひと滑りすればすでに大海川の流れが見えてきた(13:00)。

広い川原はほとんどがまだ雪に隠されているが、ところどころ雪が割れて流芯が見える。なかなかの水量で、本日割れたと思われる新しい断面も見られ、少し川から離れ気味に歩き、春の空気を楽しみながら登山口に戻った(13:05)。

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栃の木亭の風呂が修理中とのことであり、帰路八方のみみずくの湯に立ち寄ることにした。白馬方面はずっと雲の中であった。神城の蕎麦屋で一服し、H瀬さんに信濃大町駅に送ってもらう。連休谷間の平日なので特急の乗り入れがないので、乗り継ぎが悪かったが、松本出身のM森さんのガイドで松本駅の土産物屋や本屋(Y倉さんの本はまだ並んでいなかったが)を探索し、あずさでビールを飲みながら安楽に帰京した。

(行動記録)登山口0950-支尾根取り付き1005-南尾根支稜上1120/1130-P2山頂1205/1225-支尾根取り付き1300-登山口1315

(登行高度)740m (滑降高度)740m

(メンバー)松森、広瀬、寺田(CL記録)

(地図)1/2.5万 雨飾山