湘南寺田屋

個人の記録用。元々は山スキーやクライミングの記録用だったが今は料理やらオルガンやら日々の雑多な記録多し。2016−21間はシドニー滞在していた時の記録。23.7月から山の記事はサブブログに移管。以前の記録もサブブログでアーカイブ。

鳥海山祓川ルート

日時:2006年5月27日(土)

記録:

[メンバー]寺田(単独)

[行動Time]

祓川ヒュッテ(1100m) 04:35

七つ釜避難小屋(1570m) 05:35/05:50

頂上下プラト- (1950m) 06:45/06:55

山頂(七高山 2230m)  07:30/07:50

七つ釜避難小屋 08:20

祓川ヒュッテ 08:40

[登行高度]1130m [滑降高度]1130m

[地図] 1/2.5万 鳥海山

青森、秋田の出張帰りに速攻で鳥海に登ることとした。やや大きめの黒ボストンバック(靴、シュラフ等収納)に90センチのショートスキー(ブルーモリス)といういでたち。完璧な擬態でどう見ても出張ビジネスマンである。

26日早朝青森から奥羽線で秋田に「いなほ8号」移動する。八甲田山岩木山がとても美しい。正月は吹雪で全く見えなかったのにと少々恨めしいほどである。

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奥の細道最北到達点であるにかほ町の鳥海高原での仕事を終えて羽後本荘でレンタカーを調達する。残雪の鳥海山が大変美しい日である。矢島から北斜面の祓川5合目に向かうが、4合目のブナ林のあたりからすでに残雪が現れ、5合目駐車場あたりは2m程度は残っている。

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ガラガラの駐車場に一人下山してきた地元の山やさんから情報収集し、山姿に着替えて町営祓川ヒュッテに入る。大きな小屋である。案の定誰もいないので、2階の8畳の部屋を占拠し、夕焼けと鳥海山を眺めつつビールと寿司で豪勢な夕食である。電気もつかないし寝不足だったので早々に就寝するが、9時ころになにやら一階にやってきた人たちがいて、鍋パーティなどはじめたようだ。彼らもだれもいないと思っているようで、翌朝ごそごそしているとふすまの向こうでぎょっとしている気配がしていた。

27日、関東あたりまですでに梅雨前線で雨との情報であり天気は下り坂らしいので、04:35に夜明けとともに出発。高曇りであるが、擬態サラリーマンとしては日焼けをしないので好都合である。雪はそれほど硬くないのでキックステップで広い緩斜面をどんどんと登る。雪崩れの心配はまずないほど緩いが、50m以上の長いクレバスがときどき走っているので、位置を覚えながら登る。ショートスキーなので荷はとても軽い。それにしてもこんな時間には誰もいない。見渡す限りがすべて自分ひとりのエリアというのは気持ちがいい。

05:35、七つ釜小屋到着。(1570m)。避難小屋だが頑丈そうな清潔な小屋である。さらにどんどん登ると太陽が昇るにつれて雲が少しずつとれて雲間に光がさしてきれいである。日本海も見えて心地よい。岩ひばりが一羽つかず離れず登っていくが、小さいのに元気なものだ。

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基本的に大きな浅い雪渓を登るが、雪のつき具合を見ながら東側に少しまきながら行くほうがよさそうである。赤布のポールもあるが、雪渓のど真ん中を登っているのでどうも好きになれず、なるべくブッシュ帯に近いところを勝手に登る。青空が広がってきて日差しがでてきたが、かぜが随分と強くなってきた。傾斜が徐々に強くなるので、50歩登って少し休むペースでいくと、もう山頂の岩峰は近く見えてくる。山頂直下で雪渓からガレ場に移り、07:30、強風の中本日一番乗りで頂上(七高山、2230m)に到着した。

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火口壁の向こうに新山と大物忌神社が見える。風は強烈で立っていられないほどである。結構寒くてデジカメは一枚とったら動かなくなってしまった。新山に行こうと思っていたが、降り口がわからずうろうろとするが、あまりの強風に潔くやめることとし、日焼けする前に降りることとする。

07:50山頂からガレ場を少し下り雪渓最上部に降り立ち、ミニスキーを装着する。見渡す限り誰もいない大斜面。何とも贅沢なことである。遠く七つ釜小屋を確認し方向を定めて滑降開始だ!簡単なビンディングにノーストック、おまけに最初は急斜面なので少々とまどうが、慣れるとウサギになったようで心地よいものだ。ステップターンを入れながらびゅんびゅん滑る。小さいクレバスはジャンプして越えていけるし、ロングターンも結構やればできる。さすがにこの時期雪面はスプーンカットであるが、気温が高いので表面は柔らかく快適にいける。

08:20、あっという間に七つ釜小屋に降り立つと、ようやく他の山スキーヤーにであう。これより下にはざっと20パーティ、100人ほどが登っているようだ。残りの緩斜面をのんびりと滑り、08:50祓川ヒュッテに下山。シュラフとごみを回収して駐車場に戻ると、すでにほぼ満車で大盛況であった。

再びビジネスマンの姿に戻り、09:15レンタカーで空港へ向かい、昼過ぎに帰京した。//