湘南寺田屋

個人の記録用。元々は山スキーやクライミングの記録用だったが今は料理やらオルガンやら日々の雑多な記録多し。2016−21間はシドニー滞在していた時の記録。23.7月から山の記事はサブブログに移管。以前の記録もサブブログでアーカイブ。

雲上の由布岳

双耳峰が好きである。鹿島槍も雨飾も谷川も好きだが、特に深く切れ込んだくびれをもつ由布岳はずっと登りたかった峰。翌週の福岡での仕事の前に速攻で登ることとする。

13日(日)早朝に博多に飛び、そこから高速バスを乗り継いで湯布院に向かい、夕方までに登ってしまうつもりだったが、なんとバスは満席とのこと。後からわかったが、外国人観光客ラッシュで猛烈に混んでいる模様。やむなく、JR博多駅に移動し、ひょっとしたらと特急ゆふいんの森号を当たってみるが、当然のごとく満席。一番早い普通電車に飛び乗るが、なんと事故発生でとまってしまった。万事休すでゆっくりと移動することとし、久留米でとんこつラーメンを食べ、夕刻に湯布院着。由布岳西山麓近くに予約しておいた宿に入る。親切な女主人の小さな宿でなかなか居心地がよい。登山口の視察ついでに共同湯「下の湯」に行ってくる。ここは本当に簡素で建物に入るとすぐ温泉で脱衣所もすぐ脇。常連らしきおじさん数人と熱い湯につかって買い出しして戻る。女ご主人によると、最近は東京からの若い女性も入るので、地元男性の方がビビッているそうだ。カワハギの刺身と寿司などたべて、露天風呂に入ってから就寝。由布岳はずっと雲の中であった。

f:id:teradaya:20151217004434j:image:w360久留米とんこつしぼり@満一

f:id:teradaya:20151217004433j:image:w360宿は「麓舎」 

f:id:teradaya:20151217004432j:image:w360いたるところに湯煙

f:id:teradaya:20151217004431j:image:w360前に家族でも来た

f:id:teradaya:20151217004430j:image:w360共同湯「下の湯」

翌朝、5時に宿をでて真っ暗な中を歩き始める。山はガスの中。踏み跡と時々あるピンクテープを目印にもくもくと歩く。鹿の声がキョーといたるところで聞こえる。ちょうど山火事緩衝帯の笹原に出るあたりで突如山道が途切れて、林道が現れる。ずぶずぶ沈む気持ちの悪い人口道をたどっていくと20分ほどで行き止まり。地図を見ても載っていない木材切り出しの道のようだ。どこかで登山道を外れてしまったらしいので、仕方なく戻る。林道に飛び出たあたりまで戻るが特にしるしはない。懐中電灯で周囲を照らすと轍のような踏み跡があるのでこれを登り直す。結果的にはどうにかルートに戻ったが、下りの明るい時に見ると登山道はかなり離れた笹原についていたようだ。ともあれ、徐々に高度を上げあまり歩かれていない踏み跡をたどると、沢が現れ水場の標識に出会った。ここで登山道に復帰。すぐそばで鹿らしい動物がどどっと駆け出してこちらも驚いた。距離5mくらい。水を飲んでいたのだろう。

f:id:teradaya:20151217004429j:image:w360懐中電灯行動

f:id:teradaya:20151217004428j:image:w3608合目で夜が明ける

徐々に夜が明けてきて、飯盛ケ城のおにぎり状のシルエットが浮かんでいる。さらに歩き正面登山道との合流地点「合野越」に到着。ここからジグザグと登りが続き、頂上直下の西峰・東峰の分岐「マタエ」に着くころにはときどき雲もきれるようになってきた。西峰に向かうと、結構な岩場がある。鎖は使わないこととして登っていたが、一か所濡れて気持ちが悪いところがあり、がっちり使わせてもらう。安全第一。東峰の肩に朝日がぼやりと現れ、さらに登ると雲の上に出た。雲海が広がり、九重連山が浮かんでいる。雲は沸いては双耳峰の間を抜けていく。10分で山頂に立ち絶景を独り占めする幸運に感謝する。残念ながらお隣の鶴見岳は雲の下で見えないが、その雲のおかげでブロッケンも現れ自分の影が投影されている。

f:id:teradaya:20151217004427j:image:w360西峰・東峰の分岐「マタエ」

f:id:teradaya:20151217004426j:image:w360西峰直下で雲上に(東峰に朝日)

f:id:teradaya:20151217004425j:image:w360雲海に浮ぶ久住連山

f:id:teradaya:20151217004541j:image:w360雲が東峰を越えて渡ってくる

f:id:teradaya:20151217004540j:image:w450雲の上

f:id:teradaya:20151217004539j:image:w360ブロッケン(最近良く見る)

f:id:teradaya:20151217004538j:image:w360なかなか絶景

せっかくなので、お鉢巡りをして東峰に向かう。特に危険はないが、露でびっしょり濡れてしまう。ファイントレックのパンツは撥水が優秀で、こういうときは助かる。40分で東峰に立ち、ここで腰を下ろしておにぎりを頬ばった。一瞬、湯布院盆地が見渡せた。

f:id:teradaya:20151217004537j:image:w360お鉢巡り中。東峰・西峰のコル

f:id:teradaya:20151217004536j:image:w240東峰山頂

f:id:teradaya:20151217004535j:image:w360湯布院の街が一瞬見えた(またすぐガスの中へ)

f:id:teradaya:20151217004534j:image:w360西峰の山体

マタエまで下るとすぐに再びガスの中に入ってしまった。速足で下って、笹原まで降りると雲の下となり、明るいのびのびとした地形を歩くことになる。火山らしく大きな岩塊が所々にあるが、結構岩質も良くルート開拓をしたくなるような岩だ。下りは道まよいもなく、1時間10分で町に戻った。宿の女主人のご厚意で広い露天風呂を使わせてもらい、さっぱりと着替えをして12時過ぎの「ゆふいんの森」号で久留米方面に向かい、仕事仲間に合流した。

f:id:teradaya:20151217004533j:image:w360笹原は防火緩衝帯

f:id:teradaya:20151217004623j:image:w360立派なハイボルダ―(ハングもある)

f:id:teradaya:20151217004621j:image:w360左の林道に行って道間違えし、真ん中の踏み跡を登り返した(正しい道は右の笹原にあった)。

f:id:teradaya:20151217004620j:image:w360町はずれに戻った

f:id:teradaya:20151219220848p:image:w320宿の露天風呂

f:id:teradaya:20151219220844p:image:w310 f:id:teradaya:20151219220839p:image:w310

無事仕事を終え、翌日初めて西鉄特急に乗って博多に戻った。

f:id:teradaya:20151217004619j:image:w360

f:id:teradaya:20151217004618j:image:w360世界遺産登録記念列車塗装だった。

(機材)オリンパス ミュー1030w

(コースタイム)

 西登山口 5:05

  (途中道迷い30分強)

 合野越  6:45

 マタエ  7:45

 西峰   8:00-8:10

 東峰   8:40-8:55

 西登山口 10:05