湘南寺田屋

個人の記録用。元々は山スキーやクライミングの記録用だったが今は料理やらオルガンやら日々の雑多な記録多し。2016−21間はシドニー滞在していた時の記録。23.7月から山の記事はサブブログに移管。以前の記録もサブブログでアーカイブ。

徳本峠と上高地散策(雨男伝説健在)

なかなか山に行く時間が取れない中、お盆前半山の日から徳本峠小屋に泊り霞沢岳を登りに行こうと計画していた。かなり前から入念に天気予報をチェックし(特に気象庁はA判定で直前まで晴れ予報であったのだが)、満月の夜景と朝焼け夕焼けの穂高連峰を楽しみにしていた。小屋と往復交通もしっかり予約し、有給も確保、PCRも陰性確認。しかし、急に南岸に発生した熱低が小さな台風に発達しやってくることとなった。

それでも、12日(金)はまだ天気は持ち、13日(土)午前に速攻下山でなんとかなると思い旅発つ。当然妻は心配し大不機嫌。

 

東京駅発の「さわやか信州号(グリーン車)」は、3列独立フルリクライニングシート&コロナ対応済で、確かに快適。以前利用した4列普通車時には散々不満であったが今回は評価を改めた。車内は悪天予報の下、かなり余裕がある。早朝5時過ぎに乗り換えなしで上高地ターミナルに着けるのはありがたい。

到着時は曇りであったが、すぐにけっこうな驟雨となるなか、荷物を整えて新規にかった日雨兼用傘をさして出発(5:50)。まだ静かな河童橋で岳沢とガスのかかった穂高稜線を見て明神への道を行く。小梨平にはテントがたくさん。猿が我が物顔で歩いている。ひと歩きで明神に到着。登山者多数。

六百山                 /  俄雨となる

白樺林を通って             /  明神着

 

明神岳・前穂方面はガスの中      /  分岐路

 

暑くなったので上はTシャツ一枚にして小雨の中徳本峠への道に入る(6:40、1,545m)。徐々に雨脚が強まるが、風もなく樹林帯の良い道なので傘だけで行く。下藪で裾が濡れるが撥水加工を信じて雨具は着ないことにする。花の季節であり、オオカメノキの白い花やホタルブクロの紫色を楽しみながらボチボチと歩く。単独高の下山者2名、ご夫婦1組とすれ違う。昨晩の徳本峠は満月の展望が楽しめたそうである。

 

展望のない中、さほど増水も感じられない黒沢沿いの道を行く。上部で小さな沢を2本横切るが特に変わった様子はない。コマドリの囀りが頻繁に聞かれ嬉しい。「一沢一駒」。他にコルリ、ウグイスの声も。熊笹が多い樹林帯なので熊がでないことを願いながら、雨で生き生きしている苔を眺めながら1時間半強で古い小屋のある徳本峠に到着(8:10)。標高約2,130m。

100年近い歴史の徳本峠小屋(本館)。

 

小屋は今年99年目とのこと。古の岳人達が穂高目指して越えてきた峠であるが、現在安曇野側の島々谷は通行止めになっているようである。インタフォンを押すと若い小屋番のご主人が出てきてくれた。今は携帯4Gも通じており、天候情報等も親切に教えてくれる。雨は午後には一旦上がり夕方は少し展望も期待でき、明朝もまだ晴れ間もありそうなものの、午前早めの時間から台風影響で荒天になりそう。自分も同意見であり、風で雲が早く動けば滅多にない景色に会える可能性もと思う(最も逆にひどい天候に捕まるリスクもあるが)。むしろ帰りの交通が乱れるリスクは大きいとのご指摘もあり、家人の心配するメールが入る中、今回は大人しく今日中に下山・帰京と決断。台風事由なのでキャンセル料は受け取らないと言われたが、無理やり缶ビールとペットボトル水を受け取ってもらう。

1時間ほど休憩。時間が若干あるので、霞沢岳への稜線をジャンクションピーク(2,428m)まで足を延ばす。雨具の下だけ履いて傘差しで登り始める。ごそっと音がして見ると大きなカエル。残念ながら雲の中で展望は全くないが、静かでしっとりした雨の山もまあ良いものである。負け惜しみっぽいが。ジャンクションピークには1時間ほどで到着(9:20)。

 

ここからK2, K1と峰を越えて霞沢岳本峰までアップダウンが続くらしい。下からみると三本槍と言われる稜線である。今回は偵察だけとし、往路を引き返して、峠の手前から明神へのショートカットトラバース道を経由して下山。登ってくる物好きな方が1名いてちょっとお話しする。昨晩は小梨平で星空が楽しめたそう。

いつしか雨は上がり、少し雲も切れてきた。10:20に分岐に戻り、明神で休憩しようとしたが、ものすごくたくさんの人に驚く。上高地周遊の方々もここまでは来る(というか以前うちもそういえば明神池まで子連れで歩いたもんだった)ので思えば当然である。明神橋の麓で4G電波が拾えたので、バスの予約を1日前倒しに変更。たったままネットでできる便利な世の中である。

明神橋から明神の峰を見上げる。少し雲が切れてきた。

 

橋を渡って梓川右岸の遊歩道を戻ることとする。子供も多くなるので、一応ここからマスクして歩くことにする(気持ち程度かもとは思うが)。

あまり上高地をのんびり歩いたこともなかったが、これも良いものである(本当は足裏のマメが痛いので早く歩けない)。河童橋近くのベンチに座って岳沢を眺めながらボソボソとカロリーメイトや塩羊羹を食べる。古い山屋なので、好物の美味しそうなソフトクリームが売られていても、心はちょっとしか動じない。

岳沢の眺めはよいものである。奥穂南陵の下部だけ見える。

 

本当は焼岳も登ってから帰る計画だったので、登り口まで行っておくことにする。立派な温泉つきのホテルの前を通り、ウェストンさんのレリーフにご挨拶して川沿いを歩く。山の格好の人はあまりいないな。案内板で六百山と霞沢岳の案内があるがあまり注目する人はいない様子。自分だけ雲の上の三本槍あたりを想像して眺めてみる。やはり今日は展望は難しかったようだ。門の関所のようになっている西穂登山口をチェックし、焼岳方面の道を確認してから、そろそろ帰路につく。

西穂方面はここをくぐっていく      /   まっすぐいけば焼岳方面

 

今日は、これまで訪れたことがない上高地帝国ホテルにも寄ってみることとし、少し荷物や服装を整える(汚れたものをしまうだけだが)。森の中の赤い屋根。歴史があり山屋にも愛された素敵なホテルである。ショップに寄りたいと入口のボーイさんに言うとすぐに案内してくれ館内へ。廊下の展示等をみて、お土産に美味しそうなお菓子(ガレットやクッキー)を購入。バスターミナルへの道も親切に教えてもらい順調に帰着(15:10)。15時半のバスで帰路に着いた。途中美ヶ原や諏訪は晴れ間があったが、茅野から南は結構な雨になった。大渋滞で90分遅れたが、ぐっすり眠って快適に戻ることができた。バスはなかなか良い。

お土産にガレットとクッキー(いつもと違う芸風)

安曇野夕景。美ヶ原方面。        /   諏訪湖SA 

(おまけ)蝶ヶ岳ヒュッテのライブカメラ映像。ちょっと展望は得られたようだが、朝晩はガスの中だったようだ。少し標高の低い徳本峠だったらどうだったか?とか何とか未練たらしく思う。

 

(コースタイム)

0812 上高地バスターミナル

0640 明神徳本峠分岐

0810/0920 徳本峠 (2,130m)

1010/1015 ジャンクションピーク(2,428m)

1045 明神への巻道分岐

1155/1205 明神橋(バス変更手配)

1315/1405 昼食@河童橋近くベンチ

1445/1500 上高地帝国ホテル

1510 バスターミナル