イースター連休を利用して、ずっと考えていたNSW州横断の旅、ブロークンヒル(Broken Hill)までの自動車旅。BHPによる豪州炭鉱業の創業の地でもあり、また1981年の映画マッドマックス2の撮影地。そこにある「マッドマックス2ミュージアム」が目的地。ことしは公開40周年である。世紀末英雄伝説の世界観で「北斗の拳」や一世を風靡した怪力レスラー「ロードウォリアーズ」に大きな影響を与えたアウトバックの乾燥した世界を見たいと思っていた。
直前4月第一週のブリスベンロックダウンも無事解除となり、出張で一度いったため自宅待機になっていた自分も無事解放された。クライミング仲間のN君と酒の飲めない運転上手のF君が連れ合い。
2日(金)朝7時半に出発。砂漠地帯を含む人口過疎の地域であり、さらにイースター休暇期間で休業する店も多いことから、水や食材、燃料なども抜かりなく積んでおく。
出発の朝 / ずっと快晴の予報
高速M2からM4、M7と乗り継いで順調に走るが、ブルーマウンテンを越えるあたりから結構な渋滞となる。やはり年末年始に次ぐ連休であり、コロナで出かけられなかった時期が長かったので旅行に出る人も多いのであろう(キャンピングカーが非常に多い)。
山を越えて下り始めると渋滞も解消。下りきったところにあるリスゴー(Lithgow)の町でマックカフェでコーヒーでもと思ったが皆同じ考えのようで大混雑。すかさず撤収。ここはかつての鉄道などの拠点でもあり交通の要衝なのであろう。街路樹の紅葉が美しい。
国道A32に入り、バシャースト、オレンジ、と通過し、ダボ(Dubbo)の町で昼食休憩とする。やはりイースターフライデーでしまっている店が大半。かろうじてやっていたケバブの店でコーヒー買って再度西に走る。
ここより西はもう大きな街はない。Nyngan という小さな町のBig Bogan(田舎者の自虐的言い方)像や洪水救助のヘリをみたりして、今日の宿泊地コバール(Cobar)に夕方到着。約700km。大型スーパーなども今日は皆おやすみ。
Nynganの町
Cobarの町の入口オブジェ。キャンピングカーサイトになっている。
かつて金鉱山で栄えた町であるが、技術の進歩で90年代からまた操業再開したそうで、急傾斜の金鉱山の穴が見学できる。地平線に沈む夕日を見てから町にもどり、パブで夕食。
展望台(Look Out)のゲートは解放されていた / 深い掘削
このピザはどでかくて結構うまかった / Road Train 車軸数がすごい
3日(土)
早起きして、朝4時半からやっているというカフェでコーヒーを買って出発。炭鉱労働の人がお客に数名。イースターのクロスバムパンを食べながら走る。
徐々に木がまばらになり低くなるが、砂漠という感じではない。先週NSWは洪水になるほどの豪雨であったが、このあたりは大して降らなかったのか、乾燥した気配であり地図にある湖は干上がっていた。もう店もまったく人の気配もしない。道端にある休憩所Road Houseでガソリンを入れたり簡易トイレを使ったりして走る。途中エミューの群れなどもいた。
まっすぐの道 / ロードハウスの給油器
地平線に向かい逃げ水を追いかけながら走り続けると、山もみえてくるようになり、ようやく看板などが出てくる。ついに約1,300km走ってブロークンヒル(Broken Hill)に到着。
ブロークンヒルはBHP社発祥の地で銀や亜鉛等の鉱物採取で栄えたが、すでに終掘したものも多く、徐々に人口は減少している。とはいえ人口2万人以上の町である。久々に町らしい景色を通り抜け、今回の目的地であるシルバートン(Silverton)を目指す。
ブロークンヒルからの道はマッドマックス2の撮影地になったそうだが、確かに荒涼とした景色が広がる。シルバートンの町の名の通り、かつては銀鉱山で賑わいBHPの初の鉱山もここにあったそうである(今は見学ツアーがある)。
シルバートン入口。ラクダツアーがいた。
たくさんの映画のアウトバック映像のロケ地になったという「Silverton Hotel」で昼食。多くの人で賑わっている。というか、ブロークンヒルの中心部よりずっと人が多い感じ。バーガーが名物というので3種注文してランチとする。F君に運転を任せて他の2名はビールもいただく(普通のパブの品揃え)。
歩いても言えるくらいの距離に個人経営の小さな「マッドマックス2ミュージアム」がある。入場料は現金のみ10ドル。狭い館内には玉石混合の猛烈にマニアックな展示の数々(撮影禁止)。また裏口からつながる庭にはマックスの運転するV8エンジン搭載インターセプターの模型(かなり怪しい造形)やジャイロキャプテンのヘリ等がこれも山ほど置いてある。主演のメル・ギブソンは来たことがないようだが、一世を風靡したモヒカン革鎧暴走戦ウェズ(Wez)を演じたヴァーノン・ウェルズはやってきたようで、館長との写真が飾られていた(とても穏やかな笑顔)。「北斗の拳」世代の自分も、館長と握手して満足してお土産を買う。
館長からぜひ行くべしとい言われ、Mundi Mundi 展望台(Look Out)へ。車で5分。ここは最初の撮影が行われた場所とのことで、石油製油所を見下ろすところだと思われる。ともかく四方地平線と道路だけ。大いに満足して帰路につく。
帰路BHP発祥の炭鉱Daydream Mineに行くが残念ながら見学時間は終了。もうひとつガイドブック等によく載っている美術オブジェを見に丘の上へ。車で上がれるはずとは知らず、下から20分歩いて登った。暑かったがよい運動。
町に戻って、現在も少し操業しているBHPの炭鉱展望台に行く。駅のすぐ側の山上で、町からも至近の距離。遭難者の名前が刻まれたプレートもあり、1800年代は多くの殉職者があったよう。最近も2017年の記録もあった。
慰霊碑をくぐって展望台へ
町が近い
もう30km走るとついに隣の南オーストラリア(SA)州。コロナ規制等あったのでどうなっているのか気になり行ってみる。途中大陸横断鉄道も並走。州境にロードサイドカフェが一軒あるというので行ってみるが、あっけなく何もなく州境を越えてしまい、しばらくしてから戻って来る。おばちゃん一人でやっているカフェ(というか雑貨店)でコーラを買って再びNSW州に無事戻り、町の中華料理店(めずらしくオージーのみの経営)でちょっと変わった中華料理を食べて腹を満たした。
このパブに町中の(?)若者が集う / 現役のカローラFX
レトロな街並み
炭鉱業界の集まりをやっていた / 今宵の宿 砂漠の砂モーテル